元々若鶴酒造さんがウイスキー蒸留を始めたきっかけは、2代目社長である板垣小太郎氏が、第二次世界大戦が始まり食糧管理法により、日本酒の原材料である米が統制され、酒造業界全体が厳しい状況に置かれました。
更に追い討ちを懸けるように富山大空襲の影響もあり、清酒の生産高は激減したことにあったそうです。
そこで板垣小太郎氏が目をつけたのが、米以外からアルコールを作り出す方法でした。
技術者を探す中でキッコーマンの工場長を務めた経験から、深い知見を持った深沢重敏氏と出会い、更に酒類総合研究所の勝田氏を迎えて、1947年(昭和22)に若鶴酉発酵(はっこう)研究所を設立。
最初は統制外であった菊芋からアルコール取り出す研究を河川敷で行い、焼酎➡雑酒➡ウイスキーとポートワインという順番で製造免許を獲得します。
そして、1952年(昭和27年)に若鶴酒造がウイスキーの製造免許を取得して、翌年の春である1953年に販売を開始されます。
サンシャインウイスキーの名前は公募により決まったもので「戦争の中ですべてを失った日本で水と空気と太陽光線からできる蒸留酒によってふたたび日をのぼらせよう」という思いから命名されたそうです。
正直な話、サンシャインウイスキー自体は水割り等でスッキリと酔う為の食中酒としてのイメージが強く、ストレート等で香りを楽しむものではないと思います。(と言ってもグレーンの飲みやすさと、三郎丸の個性であるスモーキーさが味わえるブレンデッドなので面白い酒ですよ)
地ウイスキーという形で長いこと発売されてきましたが、昨年。2016年にモルト比率を高めたサンシャインウイスキープレミアムが発売されました。
ウイスキーの世界的な需要の高まりはもちろん、蒸留所の改修にあたって行われたクラウドファンティングでは、四千万以上の支援を集めたのは、若鶴酒造さんへのウイスキーファン達の強い後押しが有ったからこそのプレミアムの発売であったのだろうと思います。
(画像は改修に伴い変わった銅製のポットスチル)
更に今まではポットスチルはステンレス製の物が使われていたそうですが、改修に伴い、触媒効果のある銅製の物に変えたようです。
噂によると、イチローズモルトの肥土伊知郎(あくといちろう)氏が、技術指導を行ったと言う話もあり、ウイスキーファンならば、これからどうなっていくのか。目が離せない蒸留所かと思います。
では飲んでみます。
ストレート つんとしたアルコール臭、香ばしいモルティさ、赤ワイン由来と思われる僅かなタンニンの渋み、スモーキーなピート、余韻はどこかさつまいものようなホクホクとした風味が残ります。
ロック スモーキーさと一緒にバニラ等を思わせる甘味が感じられます。確かなスモーキーさが残りつつも、モルトの甘味がじんわりと広がります。
ハイボール 甘味等はほとんど消え、スモーキーさと、シリアルを思わせる香ばしさが残ります。
種別 ブレンデッド
構成原酒 輸入品のグレーン、バーボン樽?ワイン樽で追熟成
(10段階評価。星5が平均とさせて貰います)
香り★★★★~★
味★★★★
総評★★★★~★
味★★★★
総評★★★★~★
飲み方 ストレート○ロック○水割り○ハイボール◎
オススメ度AA
値段は税込2700円。決して安いとは言えない値段帯で、このお値段なら同じブレンデッドで完成度が高いジョニーウォーカーの黒。シーバスリーガルの12年。バランタイン12年。ディワーズ12年。と、名実共に評価の高いボトルが買えると思います。
しかし、しかしです。あのアードヘッグとほぼ同じフェノール値(スモーキーさの由来となる成分)が味わえ、ステンレスで蒸留された(今の所)というウイスキーがどのような味になるかを考えれば、ウイスキー好きならば一度は飲んで頂きたいウイスキーです!
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